脳卒中
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症例報告
頸部内頸動脈狭窄症に対する頸動脈ステント留置術後,遅発性に可逆性脳血管攣縮症候群を生じた1 例
渡邊 陽祐武智 昭彦梶原 佳則瀬山 剛
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2017 年 39 巻 4 号 p. 299-303

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抄録

症例は74 歳女性である.無症候性右頸部内頸動脈狭窄(80%)に対し,頸動脈ステント留置術(carotid artery stenting, CAS)を行い,無症状退院した.術後17 日目に急激な後頭部痛と共に一過性の左上下肢脱力を来し,当院救急受診した.頭部MRI にて右大脳半球の分水嶺領域に散在する梗塞巣を認めた.脳血管撮影を施行すると右頸部内頸動脈にステント内血栓はなく,ステント内の血流も良好であったが,右前大脳動脈および中大脳動脈の末梢に分節状の狭窄が多発していた.発症直後は鑑別に可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome, RCVS)を挙げることができず,抗血小板薬追加などにて加療を行った.術後23 日目以降は症状の出現を認めず,術後42 日目の脳血管撮影にて血管狭窄は消失,無症状で独歩退院した.RCVS は稀ながら進行すると重篤な合併症を来しうる病態である.CAS 後に神経学的所見を呈した場合,RCVS も鑑別すべき原因疾患として,十分認識する必要がある.

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© 2017 日本脳卒中学会
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