脳卒中
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症例報告
多発性脳梗塞と鑑別が困難だった可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症
阿部 英治梶原 寛郷田 周中野 俊久藤木 稔
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2014 年 36 巻 6 号 p. 443-448

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抄録

要旨:症例は75 歳,女性.意識障害,右片麻痺と失語と高熱を認め,当院に救急搬送.MRI(DWI)で脳梁膨大部,左側頭葉に散在性に高信号域を認めた.当初は多発性脳梗塞と診断し,一般的な点滴内服加療を行った.また,肺炎もあり抗生剤を投与した.入院後徐々に解熱し,右不全片麻痺は改善するものの,失語は残存した.経過観察のためのMRI ではDWI やFLAIR でも病変は消失しており,MRA も異常は認めなかった.臨床経過および画像所見より可逆性脳梁膨大部病変を有する軽症脳炎・脳症(clinically mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion; MERS)を強く疑われた.MERS は高齢であっても鑑別診断として考慮する必要がある.

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© 2014 日本脳卒中学会
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