日本耳鼻咽喉科学会会報
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原著
正円窓小窩, 内耳道への進展を認めた迷路内神経鞘腫の1例
野口 佳裕高橋 正時籾山 直子杉本 太郎喜多村 健
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2012 年 115 巻 7 号 p. 687-692

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抄録

迷路内神経鞘腫 (intralabyrinthine schwannoma: ILS) は, 蝸牛神経, 前庭神経の末梢端から発生する内耳起源のまれな良性腫瘍である. 今回われわれは, 内耳から正円窓小窩, 内耳道へ進展したと考えられるILSの1例を報告する. 症例は47歳, 男性で, 36歳のときに突然の左難聴, 耳鳴を自覚し聾になった. 41歳のときに, 半年間に数回の回転性めまい発作を繰り返した. 46歳のときに左耳鳴が増強し, 造影MRIにてILSと診断された. 腫瘍の増大傾向を認めたため, 経迷路, 経外耳道的に腫瘍を全摘した. 片側性難聴やめまいを示す症例に対しては, 画像診断においてILSをも念頭においた診療が必要である.

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© 2012 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
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